大阪高等裁判所 昭和63年(ネ)2324号 判決 1990年9月13日
主文
一、本件控訴をいずれも棄却する。
二、控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
第一、当事者の求めた裁判
(控訴人ら)
一、原判決を取り消す。
二、被控訴人の昭和五九年六月二二日の定時株主総会(本件総会)における次の決議を取り消す。
1. 貸切バス営業(一般貸切旅客自動車運送事業)全部を譲渡する旨の決議
2. 第二六期(昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日までの事業年度)の営業報告書、貸借対照表、損益計算書、欠損金処理案を承認する旨の決議
三、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
(被控訴人)
主文同旨
第二、当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正等するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一、原判決四枚目裏一〇行目「原告ら」の次に「(控訴人石垣經雄、同一也、同佐登子については昭和六〇年四月九日死亡の原審原告石垣末吉の、控訴人樫田久美重、同俊昭については昭和六三年五月二二日死亡の原審原告樫田勇の各相続人として、但し、右各相続発生前の関係において「原告ら」とあるときは「原審原告ら」と読みかえる。以下同じ)」を付加する。
二、同五枚目裏三行目「一日まで」の次に「の事業年度」を付加する。
三、同八枚目表七行目「沢田喜三郎」を「沢田留三郎」と、同じ行の「大橋馨」を「大岡馨」とそれぞれ訂正し、同九枚目裏末行目「原告二一名」を「原審原告ら」と改める。
四、同一三枚目裏二行目「招集通知」の前に「まして、原審原告らは設立時より継続して被控訴人の株主であって、被控訴人の内容を熟知していたものであり、」を付加する。
五、同一四枚目裏九行目の冒頭に「営業譲渡の重要性、反対株主に株式買取請求の機会を確保すべく賛否の判断をするに足りる資料を供させる必要性に鑑みると、」を付加する。
第三、証拠関係<略>
理由
一、当裁判所も、控訴人らの被控訴人に対する本訴請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正等するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1. 原判決一七枚目裏四行目「争いがない。」を「争いがなく、控訴人石垣經雄、同一也、同佐登子が原審原告亡石垣末吉の、控訴人樫田久美重、同俊昭が原審原告亡樫田勇の各相続人であることは、被控訴人が明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。」と改め、同じ行の「乙第二」の次に「、第八一、第八二」を付加し、同じ行の末尾「、」から同六行目「弁論の全趣旨」までを削除し、同七行目「四日」を「一四日」と訂正する。
2. 同一一行目「失った」の次に「ので、本訴を提起し追行する適格がない」を付加し、同一八枚目表一行目「取締役」を「取締役会」と各訂正する。
3. 同一八枚目裏八行目「本件総会」から同一〇行目「すなわち、」までを削除し、同一九枚目表四行目「認められる。」を「認められ、右事実によれば、本件総会の招集通知書は昭和五九年六月八日に発送されたものと推認されないではない。」と改め、同裏四行目「投函したこと」の次に「、同日右郵便局前の郵便ポストの最終開函時刻は午後五時四〇分であったこと」を付加し、同じ行「以上の事実に照らせば、」の次に「前記招集通知書は六月七日に発送されたものと認めるのが相当であり、」を付加し、同七行目「、これを認めるに足りる証拠はない。」を「右認定を覆すに足りる証拠はない。」と改める。
4. 同二〇枚目表末行目「質問の」を「質問に」と訂正し、同二一枚目表三行目冒頭「他」の次に「の」を付加し、同一〇行目「本件総会通知書」から同裏二行目末尾までを「本件総会招集通知書に同封された第二六期事業年度(昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日まで)の営業報告書のなかで、被控訴人は、経営再建のための中期経営計画の一環として「貸切バス事業部を完全分離し、別々の法人(タクシー会社、貸切バス会社)にて経営基盤を確立し、将来の明星グループの存続発展を図る。」との方針を明らかにするとともに、添付の事業部門別附属明細表に、本社及びタクシー部門と観光部門(貸切バス事業部)を区分し、各部門別にそれぞれの資産、負債、資本と期間損益の」と改める。
5. 同二二枚目表五行目「第一決議案につき」から同七行目末尾までを「第一決議案につき賛否の合理的判断をするにつき、必要な情報が不足であったとまではいえず、結局被控訴人取締役らの説明が不十分で、説明義務を懈怠したものであるということはできない。」と改める。
6. 同八行目「二三七条」の次に「の三第」を、同裏四行目「旅客」の次に「自動車」をそれぞれ付加し、同六行目「前記乙第三号証」から同二三枚目表一行目「以上を」までを「前記認定の第二六期事業年度営業報告書の記載及び本件総会における被控訴人代表取締役の提案説明を」と、同三行目「のであり」を「ものというべきであり」とそれぞれ改める。
7. 同二四枚目表九行目「あったこと」の次に「、予想される営業譲渡の対価も著しく低額であるとはいえないこと」を付加する。
8. 同裏五行目「甲第八号証」の次に「(弁論の全趣旨によって成立が認められる乙第六三号証)」を、「成立に争いのない」の次に「甲第五、第六号証、」をそれぞれ付加する。
9. 同八行目の「本件」から同末行目冒頭の「つたこと」までを「原審原告らは遅くとも昭和五一年三月三一日以降被控訴人の株主であったうえ、本件総会の招集通知の少なくとも二年程前から、被控訴人の経営者が貸切バス事業を近い将来分離独立させるとの方針を打ち出していたことを各期の営業報告書等を通じて知りうる状態にあったこと」と改める。
10. 同二五枚目表六行目「分離の計画は将来」を「分離の計画は、将来新会社が設立された際、これに被控訴人の営業の一部を譲渡することによって行うという内容」と、同裏一行目「乙第三号証」を「乙第六号証及び証人中西正勝の証言」とそれぞれ改め、同七行目「賛成した」の次に「もので、反対したのは控訴人西村及び同辰巳行正の二名のみであった」を、同二六枚目表三行目冒頭に「重大ではなく、」をそれぞれ付加する。
二、よって、原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。